![]() | 痴人の愛 谷崎 潤一郎 (1947/11) 新潮社 生真面目なサラリー・マンの河合譲治は、カフェで見初めた美少女ナオミを自分好みの女性に育て上げ妻にする。成熟するにつれ妖艶さを増すナオミの回りには、いつしか男友達が群がり、やがて譲治も魅惑的なナオミの肉体に翻弄され、身を滅ぼしていく。大正末期の性的に解放された風潮を背景に描く傑作。知性も性に対する倫理観もない”ナオミ”は、日本の妖婦の代名詞となった。(本書巻末抜粋) |
愚行とは河合氏のナオミに対する異常な愛情のことを示してます。
いやー(汗・・・私はナオミに同情してしまいますかね。こんな変な男につきまとわれるなんてって。
「ナオミを自分の想い通りの女に育てる」と豪語しているわりに、いいように弄ばれている河合氏。そもそも、一個の人間を想い通りにしようという考え方が甚だ傲慢かと。
”愛”に依存し、翻弄されていく姿がなんともいえず痛ましく、女の私には到底理解できないです。いや、女には女の依存があるとは思うのですが。
うーーん、しかし本書ではとかく西洋と日本という2つになんだか笑えないところがあります。
(河合氏とナオミがエルドラドオのダンス会に出席した際知人の熊谷氏と踊っていたピンク服の女に関してナオミらが罵倒する場面)
「つまり馬鹿よ」
ナオミはだんだん自信を恢復したらしく、己惚れの強い平素の口調で、云ってのけて、
「顔立ちだって、いい事なんかありゃしないわ。あんな女を譲治さんは美人だと思うの?」
「美人というほどじゃないけれども、鼻も高いし、体つきも悪くないし、普通に造ったらみれるだろうが」
「まあ厭だ!何が見られるもんじゃない!あんな顔ならいくらだってざらにあるわよ。おまけにどうでしょう、西洋人臭く見せようと思って、色んな細工をしているところはいいけれど、それがちっとも西洋人に見えないんだから、お慰みじゃないの。まるで猿だわ。」(本文抜粋)
今となっては「色白で長身、鼻が高く、眼が二重で大きい」という正に西洋人的肉体構造の「美」が定着して憚りません(まあ好みもありますが)が、当時は差別も露だったようで。
「背も低く、寸胴でおちょこ口。のっぺりヒラメ顔」の日本人。
やっぱり西洋人の美しさには憧れますよねえ・・・正直。
しかしいくら似せようとしても、逆にまたそれがつりあわずに滑稽になるだけなんですね(苦)
性に対する倫理観。まあ、ところかまわずってのはいただけないかな。まあ。
(というか紹介なのに紹介らしくない文だなあ)




